なぜ英語劇なの?
こんにちは。
ようやく朝晩は涼しくなって、秋の到来が感じられるようになってきましたね。
さて、今日は小学生クラスのお話をしようと思います。当塾では、ホームページでも紹介している通り、小学3・4年生のクラスでは「英語劇」を通して学習をしています。なぜ劇なのか?というのを掘り下げてお話しします。
現行の3・4年生クラスでは、Sleeping Beauty (眠り姫)を練習しています。「ねむり姫」(眠れる森の美女)は誰もが知っているストーリーなので、生徒たちも理解しやすく、取り組み安いかと思っています。
一節にこういうセリフがあります。100年の眠りについたお姫様を救おうと、王子がドラゴンに化けた魔女と戦って、その魔女(ドラゴン)が倒れるシーンです。
王子:Take that, Dragon! 「これでも食らえ、ドラゴン!」(剣をふりかざす)
ドラゴン:Aaaah,,,! I’m dying. 「あ~、死ぬ~。」
子供たちはその役になりきって、セリフが口をついて出てきます。
そして、このセリフで私が気になったのは、I’m dying. という「現在進行形」のフレーズ。王子との戦いの末、ドラゴンが苦しみながら、ゆっくりと倒れていく瞬間です。ここで、I’ll die! という未来形だったら、「もう死んでやる!」という自暴自棄な感じになってしまうし、I died.「私は死んでしまった。」 という過去形だと、瀕死の状態ながらも、まだご臨終ではないので、はまりません。I die.「私は死にます。」という現在形も、まさに倒れていくその「動き」が表現できていないのでセリフとしてはふさわしくありません。息絶え絶えで、倒れていくドラゴンの口から出るのは、臨場感あふれる「現在進行形」でなくてはならないのです。そういった中学校で扱うような「時制」の話はここでは説明しません。子供たちには、お芝居を通じて、そのセリフのニュアンスを感覚的につかんでほしいと思っているからです。機械的に、「今~している」という現在進行形は、「動詞」+「ing」だよ、とドリル的に反復練習するより、文脈や意味を理解した上で、感情をこめて、身体を使って演じて、正しい発音でセリフの練習をすることで「生きたことば」の習得になると信じています。そしていずれ中学校の授業で「現在進行形」が出てきた時に、「あ~、あの時、英語劇のセリフでやったなぁ。。。」と思い出してくれれば、それは深い理解と共に、頭にしっかり定着していくはずです。
英語劇の台本はとてもシンプルな文章ばかりですが、中学校で扱う英文法はいっぱい詰まっています。また大人でも知らないであろう難しい単語も出てきたりします。しかし、クラスメイトと覚えたセリフとその楽しい記憶は、その後の英語学習に生かされ、一生モノになると私は思っています。
文:野田圭子