ビクトリア語学留学の旅(保護者編)
前回、高2の生徒さんに、短期留学の経験を語って頂きましたが、彼は言うまでもなく未成年であり、これが初めての海外旅行でした。親御さんのご理解やサポートなしでは実現できなかったことです。今回は、お母様に渡航手続きの細かい実務や、舞台裏で見守る側の心情などを語って頂きましたので、共有したいと思います。今後、長期休みを利用した留学を希望する生徒さんには役立つ情報ばかりです。貴重なご意見誠に有難うございました。
このたび、息子がカナダのビクトリアへ2週間の語学研修に行ってきました。親視点での振り返りをしましたので、ここに報告を申し上げます。
<準備開始>
- まずはエージェントの選定を行いました。たくさんあって迷います。大手に問い合わせると、メールや電話が頻繁にきます。最終的に、メール対応が最も親切に感じられた、ビクトリアの留学を専門に扱うエージェントにしました。なお、研修先は最初からビクトリア一択でした。野田先生が長くビクトリアに滞在されていたご経験から、留学にとても適した安全な街であることを教えていただいていたからです。
- 準備は早いに越したことはありません。夏休み後半を利用して、カナダに行くという計画を思いついたのが4月でした。飛行機恐怖症の本人のために、せめて日本の航空会社の便を設定しようと考えましたが、エージェントに調べてもらったところ、残席1なので早く決断するよう言われ、とても慌てました。
- エージェントにやってもらったことは、主に①航空券の手配、②語学学校の調整、③ホームステイの調整でした。他には、以下にあげる諸手続きのリマインド、持ち物や諸注意や心構えが書かれた手引きの送付、その都度浮かんだ疑問について問い合わせた際の回答などをしてもらえました。メールのみでのやりとりですが、親切に対応してもらえました。
- 語学学校への提出書類を早めに記入して提出する必要がありました。慣れない英語文書に戸惑いはありました。
<電子化だらけの準備>
- 飛行機のチケットをエージェントで手配してもらい、すぐにeチケットが送られてきました。この電子文書をどうやって扱うのかがよくイメージできず、戸惑いました。
- チケット購入後は、航空会社のHPから座席を指定できます。せっかくなので、窓側から景色を眺めたいという本人の希望もあり、別に5000円ほど支払う必要がありましたが、窓側を指定することができました。上空から地形を見るのが思いのほか楽しかったそうで、満足していました。
- パスポートを取得する時、マイナポータルを使ったオンライン申請の方が市役所に行って申請するよりも手数料が安価です。しかし、マイナポータルの使い方に慣れず、とても時間がかかってしまいました。
- デビットカードがあると便利とのことで、用意することにしましたが、これも、アプリをダウンロードしての申請でした。未成年の場合、親名義にする必要あります。カードのアプリを親も子もダウンロードする必要があるのか?などでも悩みました。(実際は、カードを子ども本人に持たせ、アプリは親が管理。アプリを使って日本円で入金すると、子どもはクレジットカードと同様の使い方で、現地でデビットカードを使用できます。明細はすぐに親のアプリに送られてくるので、子どもが何を購入したのかがすぐわかるので便利でした。アプリは親の携帯にダウンロードされていればOKです)。
- 携帯電話を現地で使えるようにするには、eSIMを購入すると便利です。もちろん、これもアプリをダウンロードしての申請です。これは、子ども本人の携帯にダウンロードします。IT知識の乏しい私には、仕組みを理解するのがなかなか難しかったです。また、入国時に、携帯で子ども自らがSIMの切り替えをする必要があるので、子ども自身も切り替え方法を把握する必要があります。
- 未成年の子どもの代わりに申請することがいろいろあるので、名義を子どもにするのか親にするのかで悩む場面がよくありました。
- カナダに入国するために必要なeTA(電子渡航証明書)を取得する際も、これでいいのかな?と思いながら作業をすすめました。もちろんオンライン申請です。行きつ戻りつやって時間がかかりました。ネットなどでは、「数分で完了!」と書いてありましたが、「嘘ばっかり!」と思いました。
- 海外旅行保険はネットで加入できると聞いていましたが、持病があるとネットでは加入できません。保険会社の窓口で手続きをする必要がありました。
<アナログでの準備>
- 処方された持参薬がある場合、英文での医師の診断書が必要です。主治医に早めにお願いしなければなりません。(実際には、現地で提示を求められなかったみたいです)
- 未成年の場合、留学に際しての後見人を決める必要があるそうです。エージェントが契約しているカナダ在住の人がなってくれます。後見人の書類の作成に時間がかかりました。記載ミスがあり、2~3回、数日かけてのやりとりが必要になりました。最終的な書類が郵送でカナダから自宅へ送られてきたのですが、その書類は日本でも公証されないといけない、ということで、「山口公証役場」というところへ行かなければなりませんでした。日本での後見人は本人の両親にしていました。その二人ともが公証役場に行かねばなりませんでした。平日の日中に予約をとって行く必要があり、時間を捻出するのが大変でした。書類が届いたのが出発一週間前だったので、焦りました。お金も1万円くらい役場に払う必要があります。
<そのほか>
- ホストファミリーが決定したのは、出発2週間前でした。名前、住所、家族構成、ルール、メッセージなどが提示されます。早速ホストマザーとメールでやりとりを開始しました。とても親切に対応してくれたので、助かりましたし、安心してお任せできると思いました。手短に聞きたいことがある場合は、WhatsAppという、LINEとほぼ同機能のアプリでやりとりしました。翻訳アプリに助けてもらいました。
- 羽田空港にて。本人はこれまで飛行機に2度しか乗ったことがなかったし、海外は初めてだったので、羽田まで送りに行きました。羽田空港での手続きはスムーズにできました。戸惑っていたら親切なスタッフが声をかけてくれて、いろいろ教えてくれたからです。カナダドルの両替も空港でできます。羽田空港の第3ターミナルで長い時間過ごしましたが、なかなか楽しく過ごせました。
- 出発直後は心配と寂しさがありましたが、到着後は、何かあれば電話やLINEですぐに話ができるという環境だったので、そんなに心配をする必要はありませんでした(乗り継ぎ失敗の時はさすがに心配しましたが)。勉強しない姿を見ては苛々するとか、送迎をするとか、お弁当を作るとかの必要がない生活はなんと楽なのかとも思いました。本人からはたまーにしか連絡がありませんでした。楽しく過ごせているのがわかると嬉しかったです。
<準備で大変だったことのまとめ>
私自身、最後に海外へ行ったのは20数年前のことであり、当時と海外旅行事情がまるで変っていたため、戸惑いの連続でした。何もかも電子化されており、手続きが正しく完了できているのかどうかの手ごたえがまるでつかめず、本当にこれで良いのだろうか、と不安が尽きない準備期間でした。
大手のエージェントのパッケージングされた語学研修であれば、ここまで苦労することはなかったのかもしれません。しかし、どうせ行くのであれば、個人で主体的に動ける方が学びを深められると本人も親である私たちも思いましたので、小規模エージェントにお願いすることにしました。準備は大変でしたが、結果的には、この選択で良かったと思っています。
<最後に>
「留学してみない?」というある日の野田先生からの一言で始まった物語でした。半年前は、うちの幼くくよくよしやすく飛行機恐怖症の息子が海外に一人で旅立つ日がこようとは露ほども思っていませんでした。野田先生からの言葉をもらった後にしばしば「あー海外行きたい」と言うようになった息子に、「語学研修、行ってみちゃう?」と聞くと、思った以上に力強く「行きたい!」と言いました。それが4月のことです。行くのであれば、部活等の関係で、2年の夏休み後半しか選択肢はありませんでした。そこから、バタバタの準備が始まったわけですが…。何も勝手がわからなかったので、野田先生に直々に相談にのっていただきながらの準備となりました。先生はいつでも親切にご助言くださったり、一緒に考えてくださったので、とても心強かったです。
ビクトリアでどういう体験をしたかは、本人のインタビュー記事の通りで、とても新鮮で充実した楽しい日々となったようです。帰国後の本人ですが、ほんの少しですが、成長を感じられます。まず、心がおおらかになったと思います。少々のことではくよくよしなくなったようです。そして、自立心が増したように感じます。自分のことは自分で、という意識が高まりました。一番大きな変化は、口数が増えたこと、だと思います。息子は、どちらかというと内気で消極的だし、おしゃべりが上手ではありません。気持ちを自覚するのも言葉にするのも苦手でした。それが、思いを言語化することがとても増えて、情緒豊かに語るようになってきたと感じています。家族でおしゃべりをすることが増えて、楽しく過ごせるのでとても嬉しく思っています。それから、飛行機恐怖症もすっかり克服しました。今は航空機関連オタクの道に踏み込んでいるところです。
今後は、自信に基づき、たくさんの体験を積み重ね、自分らしく充実した人生を送れるような選択を積極的にしていってもらえたら、親としては望外の喜びです。あ、あと、せっかくなので英語の成績を向上させて欲しいです。
もしかしたら、息子の人生の大きな転機になったかもしれない体験を促してくださった先生に感謝申し上げます。本当にありがとうございました。