ことば力と思考力
塾長、初ブログです。この先も続けて投稿できるようがんばります。
今日は最近読んだ本の紹介兼読書プログラムの宣伝です。
本の名前は 『ことば力と思考力』
みなさんは、わが子にどのようになってもらいたいと思い、学校に通わせ、習い事に行かせていますか?
いざ問われると、さて、どうしたいのか?となるかもしれません。
この本で著者は、“時代がどう変化するか見通せない中で、どのような状況にも柔軟に対応できる思考力を持ち、いくつになっても新しいことを自分で学ぶことができる人、一生学び続けることができる人が、これからの社会を『よく生きる』ことができる、言っています。
『よく生きる』というのが少し曖昧な気もしますが、僕は『自分らしく自分が生きたい人生を歩むことができる』と解釈しました。
そして、そのために“早くから英語を勉強させなきゃ”とか、“幼児教育の特別な教室に入れなきゃ”と考えるのは、認知科学、発達心理学の面からも逆効果である、と言っています。小学一年生から週に6日習い事、というのは逆効果、ということですね。
なぜなら、“大人が躍起になって教えよう、教えようとすればするほど、お子さんは学ぶことに対するワクワク感を失い、自分で考えて学ぶことができなくなるから”だそうです。本当にそう思います。小学1年のころは、新しい漢字を覚えたり、計算ができるようになったりすることを素直に喜んで宿題もしっかりやるのに、高学年になるにつれ、勉強のすべてが嫌になってゲームやスマホばかりになっている子をよく見かけます。高学年生の無気力症候群の原因の一つは過剰な習い事、というのも頷けます。
さて、小学生から始まる学習生活の中で必要なことは何でしょう?長い人生を楽しむために必要なことは何でしょう? 著者は、“自分で学ぶ力”と言っています。まさにその通りだと思います。教えてもらうのではなく、自分で学ぶ。自分が興味を持つことを貪欲に知っていく。そうすれば、この先の、どうなるのか、何がいいのかわからない世の中を主体的に自らの選択によって楽しく生きていける、そう思います。受動ではなく能動で、ということですね。
そして!自分で学ぶ力を育むために大事なのが、『ことばの力』なのだそうです!
当塾では、2015年より、国語力アッププログラム(ことばの学校)を小学生向けに開講しております。読書というのは素晴らしい、だけれどもなかなかこの素晴らしさを伝えられない、どうしたらわかってもらえるのか?そうだ、著名人が読書はすごいと言っている本を探そうと、たくさんの本を読んできました。斉藤孝さんをはじめ多くの有名無名の人々が“読書はすごい、本を読もう、本を読めば勉強ができる、さぁ読みなさい”と言っています。本当にあちらこちらで見かけます。では、どういいのか?僕の中でスッキリする答えがなかなか見つからずあっという間に8年ほど過ぎましたが(汗)、今年初め、ある過激な題名の本『誰が国語力を殺したのか』を読む中で、今井むつみさん、という方を知りました。なぜ今まで出会ってなかったのだろう?と思うほど、言葉に関する著書、算数、英語の関する著書を出されていました。数ある著書の中で、この『ことば力と思考力』は、非常に平易な言葉で書かれていて(著者は慶応大学の教授なので他の本は結構難しい)、個人的にはとてもとても”腑に落ちる“内容が書かれていました。
以下、要点をあげます
- 暗記しただけの使えない断片的な知識、教え込んで外から入れようとした知識を「死んだ知識」、必要なときにすぐに取り出せて使える知識、他の知識と組み合わせて新たな知識を生むことができる知識を「生きた知識」と呼ぶ。母語は生きた知識。学校で習う英語は「死んだ知識」になりがち。
- 乳幼児期に”自分で考えてことばを覚えた機会が多いほど”思考力は育ち伸びる。自分で考えて覚えた!というのが大事です。そして、思考力とは、知識を使って問題の意味を考え最善の解決策を考えて結論を引き出す能力(問題解決能力)です。そのために多くの『生きた知識(自分で獲得した知識)』を持ち、それを必要なときに引出し(情報処理能力)必要・不必要を判断し(実行能力)を育てる。思考力はことばの力と一緒に育つ。
- 小学校以降の学びにおいては、日常会話で使うことばだけではなく、抽象的なことばも必要になる。それらは大人が「外から入れる」ことはできない。大人との会話や読書を通じて自分で抽象的なことばの意味を考え「生きた知識」として持つことが重要。外からは入れられない。自分で考えて入れることが大事なのです。
- 子どもたちはことばを学習する(生きた知識にする)ときに、繰り返し思考力を使っている(推論している)。ことばを覚えるとは、自分で考えて推論してその結果を記憶すること。幼児が推論なんてするの?答えは本書に具体例と共にしっかり書いてあります。推論しまくってます(^^;)
- すなわち、新しいことを学ぶ(自分で学ぶ)ためには、ことばと思考力、両方が必要で、幼いころから少しずつその訓練(ことばを推論し思考し記憶する)をしているかいないかが大きな分岐点になる。
- ことばを自分の力でたくさん覚えるということは、状況の中にある様々な手がかりとすでに持っていることばの知識を使って、新しいことばの意味を考える練習である。この練習を繰り返すことで、実行機能(思考をコントロールする力)と情報処理能力(必要な知識を選び出す力)が身につき、推論する力がつく。そうして思考力が育ち、自分で学習できるようになる。
- 9歳の壁:小学3年~4年ごろ、学校で学ぶ内容が抽象的になり、学校での学びについていけなくなること。日常生活で使われないことばを読書等で獲得してきていないと、抽象的概念を表すことばの意味を理解できない(推論できない)状態になる。また、一つのことばを状況に合わせて考えることができないことも大きな問題。ことばに対する柔軟性がなく、点のようにやせ細った意味しかもっていない。(これは英語の学習にもあてはまる。)
- ことばのセンスとは:あることばが、そのことばと関連することばと関連付けられている。(英語で言う語法・類語を知っている) ことばの意味に広がりがあり、一つの単語について様々な使い方を知っていて、文脈に合わせて柔軟に意味を考え単語の意味自体をアップデートできる。抽象的なことばの意味をしっかり本質まで理解できる。その知識を使ってさらに新しい抽象的な概念とそれを表すことばを増やせる。
- 学力と経済力の関係: 学力に親の経済力は関係ない。学力が高い親の特長は
- 子どもへの話しかけや子どもの発話に対する返答が多い
- 子どもへ話しかけるとき適度に複雑な文を言う
- 色々な種類の単語を使う。同じことを言うのにも違うことばや違う言い方をする。
つまり、親の経済状態ではなく、子どもへ話しかけることばの量と質が子どもの語彙の学習、そして思考力に大きく影響している。
- 幼児期のことば力が学力を決める。幼児期になによりも大事なのは、日常生活や遊びの中で、自分の身体を使って五感全体で身の回りの世界を探索し、その中でことばに関する興味や感性を育むこと、数、空間の中のモノ同士の関係性、できごとの因果関係に自然に注意を向けるようになること。抽象的な概念に対して、その概念の具体的な例を自分で思いつくことができる。これが抽象的な内容を理解するためにとても大事。(こどもは例えが上手。あれは〇〇みたいだね。これは□□みたい。のように。)
- 身の回りの生活体験のことば→情報処理能力・実行能力→推論する力→思考力→ことば力を自分で育て磨く力→読む力・学ぶ力=ことばのセンス
- 英語をいつはじめるか問題:幼児期には、①ことばのセンス②自分で学び方を考えることができる力を母国語でつけることが大事。これがあれば、どんな外国語でも教科でも身につけられる。子どもを英語の達人にしたければ、小さいうちに“英語の知識を入れる”より、「ことばのセンス」と「自分で学び方を考えることができる力」がつくよう手助けする。まずは母国語。
- 英語学習の目標は英語を母国語とする5歳児レベルで日常会話ができるようになることではない。小学5年生なりの、高校生なりの知識レベルにあった内容を理解し表現できる力をつけること。英語の学習にも9歳の壁はある。日常会話ができることば力と学校の学びに必要なことば力はレベルが異なることをしっかり理解する。
以上、要点が長くなりましたが、僕がくみ取った内容は、
①小さいころから色々な体験・遊びをするべし。
②並行して読書をし、本を通して日常では出会わないことばを知り生きた知識にする。まずは日本語!
③自分で聞いて、読んで、考えたことばは記憶に残り使える。そうして思考力とことば力を鍛えことばのセンスと自分で学ぶ力をつける。
④教えられて覚えようとしたことは記憶に残りにくいが、自分で学んだ知識はしっかり身につく
⑤よって、読書をして、自分ひとりで勉強できるようになろう!
この本で特になるほど、っと思った点は、③と④です。 自分で考えて理解して初めて新たな知識は自分のものになるんだ!ということです。当たり前なことかもしれませんが大きな気付きでした。たしかに大学受験では各教科参考書を広げて自分で勉強しなければなりませんね。
ということで、当塾では、小中学生向けに読書プログラムを提供しております。学童コースでも読書をしております。
小学校低学年生だけだはなく、高学年になっても、中学生になっても本を読み始めるのに遅いということはありません。
漢字・計算より、読書。
英語・プログラミングより読書。
小中学生のみなさん、本を読みましょう!
そうすれば、将来、『よりよく生きられます!』